2013年12月17日火曜日

Red Bull 5G 2013 FINALSのあとに



1年にわたってのプロジェクト、Red Bull 5Gが終了しました。

まずは、いい試合を見せてくれた選手たち、それから、会場に来てくれたお客さん、サポートしてくれた皆さん、Red Bullの皆さん、そして松井組のスタッフたちに感謝。どこが欠けても、Red Bull 5はあのクオリティを出せなかったんじゃないかと思います。本当にありがとう。




Red Bull 5G がどんなものだったのか、はあの空間にいた人たちにしかわからないし、写真を見ただけでも、記事を見ただけでも、動画を見ただけでもきっとわからない。

あれをあの空間の中で、あのオーディエンスと一緒に経験したかどうかが何かの節目になるのかもしれないし、ならないのかもしれない。

ただ、少なくとも僕は、1年間すごい楽しかった。

だから、そういう楽しさをもっといろんな人たちと共有したい。

前にも、紹介したことがあるかもしれないけれど、僕が尊敬する雑誌の編集長である、若林 恵さんがこんな記事を書いていた。少し長いけれど、引用する。





アー・ユー・エクスぺリエンスト?──『WIRED』VOL.8発売に寄せて

(前略)

音楽業界のこの数年にわたる厳しい状況は、デジタルテクノロジーがもたらした混乱に負うところは大きい。けれども事態をもっと悪くしたのは「そういう人たち」じゃない人たちが、その状況を動かし、牛耳ろうとしていたことにあったのだと改めて思う。音楽ファンが大手レコード会社を「Evil Empire」と目の敵にしたのは、彼らのなかに、音楽ファンなら誰しもがもっている共通体験がみじんも感じられなかったからだろう。愛のないヤツがファンを無視して、何の「ビジネス」か、と。

音楽好きは、音楽好きを敏感に察知する。音楽ファンが、アーティストのみならず、レコード会社なり、オンライン/オフライン問わずショップなり、新しいメディアやデジタルサーヴィスなりの何に注視しているのかと言えば、結局のところ、「こいつら、ホントに音楽好きなのかな? 愛、あんのかな?」というところでしかない。

古いシステムと格闘するプロデューサーたちも、新しいサーヴィスを立ち上げて業界を刷新しようとするイノヴェイターたちも、ともに薄暗いレコード屋で何時間も飽くことなく時間を過ごせる根っからの音楽ファンにぼくには見えた。音楽に限らず、文化というものは、人生の何よりもそれを面白いと思っている、そんな人たちの献身によって守られ、前に進んできたはずだ。ネットの時代になったからと言って、それがおいそれと変わるとも思えない。むしろ、あらゆることが透明化し、どんな商品やサーヴィスであれ、その背後にいる人びとの態度や姿勢がかえって厳しく問われるようになっているいまだからこそ、なおさらそういう人たちによって守られ、導かれなくてはならないと認識するにいたったのが、取材を通して感じた世界の音楽の現状だった。

自分に何の感動の体験もない人間が、もっともらしく「ユーザー・エクスペリエンス」を語り、数字しかあてにできない人間がしたり顔で「顧客満足」を論ずる。それによっていかに多くの現場がモチヴェイションを奪われ、クリエイティヴィティが削がれ、結果どれだけ多くのリスナーが離れていったことだろう。そりゃそうだ。そんな連中がつくったものにいったい誰が感動なんかするもんか。

人を動かす新しい体験をつくろうとするとき、人は「動かされた自分」の体験を基準にしてしか、それをつくることはできない。未来を切り開くことと「自分が心を動かされた何か」を継承し伝えることは同義だろう、とぼくは思っている。

http://wired.jp/2013/06/10/vol8-editors-message/


僕にとって、これはゲームのことだ。

だから、これからも「動かされた自分」の体験を基準にし続けよう。